診断のポイント
【1】感染性腫脹か,非感染性腫脹か。
【2】一側性か,両側性か。
【3】唾液腺腫瘍の疾患頻度・症候・検査の特徴を整理しておく。
【4】免疫異常,肉芽腫様病変に起因する非感染性唾液腺腫脹を鑑別する。
症候の診かた
【1】感染性唾液腺腫脹
❶ウイルス性:流行性耳下腺炎(ムンプス)
■小児では最も多く,一側から両側の耳下腺が有痛性に腫脹する。咀嚼,嚥下時に疼痛が強い。
■成人ではほかの分泌腺の炎症(膵炎,精巣炎,卵巣炎など)が合併することがある。
❷細菌性:急性化膿性耳下腺炎,反復性耳下腺炎
■通常一側の有痛性腫大と発熱や皮膚の発赤を伴う。
■多くは唾液量の低下,口腔内の衛生状態悪化が起因となる。
【2】非感染性唾液腺腫脹
❶腫瘍性病変
■通常は一側性の腫脹で,増大速度,硬さ,可動性,表面の性状を診る。耳下腺両側ではWarthin腫瘍や悪性リンパ腫との鑑別が必要。
■疼痛や皮膚発赤,顔面神経麻痺を伴う場合は悪性