診断のポイント
【1】内分泌活性腫瘍と悪性腫瘍が疑われるものは基本的に外科治療の対象となる。
【2】他の症候や疾患を精査中に発見された偶発性副腎腫瘍においても内分泌活性腫瘍や悪性腫瘍である可能性があるため,精査が必要である。
【3】4cm以上の腫瘍は,内分泌非活性であっても悪性腫瘍の可能性を考慮し,外科治療の対象となる。
【4】悪性腫瘍の可能性が低い4cm未満の内分泌非活性腫瘍は経過観察になるが,経過観察中に増大するようなら外科治療の対象となる。
【5】悪性腫瘍が疑われる場合,副腎皮質癌と転移性副腎癌の可能性があり,転移性副腎癌の原発は肺癌,腎癌,大腸癌,乳癌などが多い。
症候の診かた
【1】内分泌活性腫瘍の場合は原発性アルドステロン症(→),Cushing症候群(→),褐色細胞腫(→)が多く,症候はそれぞれの項目を参照されたい。
【2】無症候性の腫瘍であっても内分泌活性腫瘍や悪性腫瘍である可能性があるため,精査が必要である。
検査所見とその読みかた
【1】画像検査
❶CTで皮質腫瘍,悪性腫瘍などの鑑別は,ある程度可能である。
❷MRIがより診断に有用な場合がある。
❸FDG-PET検査は副腎皮質癌や転移性副腎癌などの悪性腫瘍の鑑別の参考になる。
❹ヨード系造影剤の使用は,褐色細胞腫あるいはその疑いの場合は原則禁忌であるため,注意を要する。
❺副腎皮質シンチグラフィがCushing症候群など,MIBGシンチグラフィが褐色細胞腫の診断に有用である。
【2】内分泌学的検査:内分泌内科と協力して行い,画像診断を含めて確定診断をつける。
【3】副腎静脈サンプリング:原発性アルドステロン症が確定した場合,局在診断として副腎静脈サンプリングを行い,両側性か片側性かを鑑別する。
確定診断の決め手
画像および内分泌学的検査で確定する。手術適応は1)内分泌活性腫瘍,2)悪性腫瘍が疑われる腫瘍,3)4cm以上の腫瘍である。
誤診し
関連リンク
- 今日の診断指針 第8版/原発性アルドステロン症
- 今日の診断指針 第8版/Cushing症候群
- 今日の診断指針 第8版/褐色細胞腫・パラガングリオーマ
- 今日の診断指針 第8版/大腸癌
- 今日の診断指針 第8版/多発性内分泌腫瘍症(1型および2型)
- 今日の治療指針2023年版/下垂体腺腫
- 今日の治療指針2023年版/副腎腫瘍
- 今日の治療指針2024年版/副腎インシデンタローマ(偶発腫)
- 今日の治療指針2024年版/神経内分泌腫瘍
- 今日の治療指針2024年版/副腎腫瘍
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/12 副腎腫瘍
- 臨床検査データブック 2023-2024/非機能性副腎腫瘍
- 新臨床内科学 第10版/5 副腎偶発腫瘍
- 新臨床内科学 第10版/6 副腎(皮質)癌
- 令和6年 医科診療報酬点数/K755-3 副腎腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)