診療支援
診断

加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)
Late Onset Hypogonadism
井手 久満
(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科・准教授)

診断のポイント

【1】40歳以上。

【2】性欲の低下。

【3】勃起不全(erection dysfunction:ED)。

【4】早朝勃起(morning erection)回数の減少。

【5】テストステロン,遊離テストステロンの低下。

症候の診かた

 LOH症候群の症状は精神的,身体的ともに多岐にわたり,疾患特異的な症状はないが,以下【1】【3】の症状が特徴的である。

【1】性欲の低下。

【2】ED:国際的に用いられる問診票として,International Index of Erectile Function(IIEF)がある。

【3】早朝勃起回数の減少。

検査所見とその読みかた

【1】スクリーニング:国際的に,HeinemannらによるAging Males' Symptoms(AMS)スコア(表1)が頻用されるが,LOH症候群に特異的ではない。

【2】血液検査:テストステロン,遊離型テストステロンの測定を行う。

❶国際的にはテストステロン値が診断に用いられており,血中のテストステロン値が300~350ng/mLを治療介入の目安としている。

❷本邦における「LOH症候群診療の手引き」では,男性のテストステロン補充療法の適応として,遊離型テストステロン値が8.5pg/mL未満の場合としている。

❸テストステロンは日内変動があるため,採血は午前中(7~11時)に行われる必要がある。

❹スルピリドなどの抗うつ薬を内服している場合にはテストステロンが低値になる場合があり,服薬の確認は必須である。

【3】ホルモン測定:原発性と続発性性腺機能低下症の鑑別に黄体化ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定が有用である。

確定診断の決め手

【1】LOH症候群に明確な診断基準はなく,種々の臨床所見から推定される診断となる。

【2】性欲の低下,ED,夜間勃起現象の減少が特徴的とされる。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

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