診断のポイント
【1】古典的・非古典的発疹症の鑑別と予防接種歴や流行状況を考慮。
【2】発疹性疾患における隔離の有無の判断。
【3】水痘,単純ヘルペス,帯状疱疹に対する正確な診断。
【4】発疹以外の随伴症状を加味した診断。
【5】ウイルス感染症以外の細菌感染症,リウマチ,血液・腫瘍性疾患,免疫アレルギー性疾患との鑑別診断。
緊急対応の判断基準
【1】発疹性ウイルス疾患のなかで,特に麻疹は感染力が強く合併症が多いため,全身消耗が強い症例では高次病院へ移送を考慮する。
【2】麻疹や水痘は空気感染をするため,感受性者や免疫不全者などから隔離する必要があり,正確な診断が必要とされる。
【3】脱水や高熱あるいは合併症のため全身状態が不良である場合は,小児の入院施設のある病院に転送する。
症候の診かた
古典的感染症の発疹や随伴症状について表1図に示す。
【1】発疹:性状,分布,出現時期,広がり方や形態の変化,持続日数など特徴をとらえ診察する。
❶性状:出血性,斑状丘疹性,水疱性,紅斑性,じん麻疹様に分け,大きさや色調の変化にも注意する。同じ病原体でも異なる発疹を呈することや同一患者でいくつかの異なる性状の発疹を有することもある。
❷分布:有髪部から口腔内,殿部に至るまで全身を細かく観察し,発疹の分布を明らかにする。
❸出現時期,広がり方や形態の変化:随伴症状と発疹の出現時期が重要となる。広がり方や形態の変化については,例えば麻疹では,融合を伴う発疹が顔面から出現し,体幹,四肢へと広がり,その後,色素沈着を残し消失するような経過をたどる。
【2】随伴症状
❶多くは発疹以外に,発熱,結膜所見,口腔内所見,リンパ節腫大,肝脾腫などの随伴症状を伴う場合が多い。麻疹では発熱や発疹の出現前のカタル症状,風疹では耳介後部のリンパ節腫脹,突発性発疹では軽度の下痢など,感染症の種類によって随伴症状に特徴がある。
❷発熱:弛張熱,稽留熱,
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