診療支援
治療

全般不安症
generalized anxiety disorder (GAD)
岩崎 弘
(東京慈恵会医科大学・精神医学)
中山和彦
(東京慈恵会医科大学教授・精神医学)

◆疾患概念

【定義・病態】

 全般不安症/全般性不安障害(GAD)は,日常的な多くの出来事または活動に対する過剰な不安と心配(予期憂慮)が持続し,これに伴って運動性緊張や自律神経症状などを呈する疾患である.本疾患は,Freud(フロイト)が唱えた不安神経症の概念を源流とするが,疾患概念としてのGADは比較的新しく,診断基準が明記されたのはDSM-Ⅲ(1980年)以降である.

 最新のDSM-5診断基準では,従来のDSMでは容認されなかった「他の精神疾患の経過中に起こるGAD」が,GADとして診断可能となった点が特筆される.これは,それまで残遺的な診断カテゴリーとしての位置付けであったGADが,より独立した疾患として認められたことを意味する.ただし,この点を除けば,基本的にDSM-ⅣのGAD診断基準が踏襲されており,DSM-5での大幅な変更はない.

 そもそも不安や心配は,危機的状況に際して生じる健

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