診療支援
治療

全身性エリテマトーデスに伴う精神症状
psychiatric symptoms due to SLE
伊藤 聡
(新潟県立リウマチセンター・副院長)

◆疾患概念

【定義・病型】

 全身性エリテマトーデスsystemic lupus erythematosus(SLE)の中枢神経障害(CNSループス)は,腎障害と並び予後に関与する重要な合併症である.1999(平成11)年の米国リウマチ学会(ACR)の分類基準では,SLEに伴う精神神経症状をneuropsychiatric systemic lupus erythematosus(NPSLE)とし,大きく中枢神経病変と末梢神経病変に分けている.中枢神経病変は,さらに神経症状neurologic syndromesとびまん性精神医学的/神経心理学的diffuse psychiatric/neuropsychological syndromesに分けられ,後者をいわゆるループス精神病(全身性エリテマトーデスに伴う精神症状)とよぶ.ループス精神病はさらに,①急性錯乱状態acute confusional state,②不安障害anxiety disorder,③認知障害cognitive dysfunction,④気分障害mood disorder,⑤精神病様症状psychosisに分類される.

 CNSループスは一般的に抗DNA抗体価や補体値などの,血清学的な活動性のマーカーが病勢と一致して動くことが少ないとされており,放射線科医,精神科医,神経内科医,膠原病内科医の十分な協力によって診断を行う必要がある.CNSループスとステロイド精神病の鑑別は,膠原病内科医にとって永遠のテーマといっても過言でないほど難しく,近年ではステロイド精神病はCNSループスがステロイドによって顕在化したものであるとの認識もなされている.

【病態・病因】

 髄液中のインターロイキン(IL)-6が高値を示し病態形成に関与しているという報告が多い.次いで,インターフェロン(IFN)αの関与も数多く報告されている.抗リ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?