●病態
・SGA(small-for-gestational age)で出生した小児が暦年齢2歳までに身長が-2SD以上にcatch-upしなかった場合,SGA性低身長症とよぶ.
・SGAで出生した小児のうち,約90%が3歳までに標準範囲内の身長(-2SD以上)にcatch-upするが,残りの10%は低身長のまま成人身長に到達する.
●治療方針
SGA性低身長症に対して,比較的高用量の成長ホルモン(GH)治療が行われ,成人身長の改善をもたらすことが報告され,日本において2007年に「SGA性低身長症におけるGH治療のガイドライン」(日本小児内分泌学会,日本未熟児新生児学会)が策定された.
A.GH治療の対象となるSGA性低身長症の定義
1.SGA児の定義
下記2項目とも満たしている場合,SGA児と定義される.
a)出生時の体重,身長ともに在胎週数相当の10パーセンタイル未満
b)出生時の体重,身長のどちらかが在胎週数相当の-2.0SD未満(ただし出生時の身長が測定されていない場合,体重のみで判断する)
さらに,下記のGH治療開始条件3項目すべてを満たせば,GH治療の適応となる.
2.GH治療開始条件
a)暦年齢が3歳以上
b)身長SDスコア(SDS)が-2.5SD未満
c)成長率SDS(現時点から1年間の成長速度)が0SD未満
なおSGA性低身長症と診断する際,ほかの低身長症を呈する疾患の鑑別は十分に行う必要がある.特にGH分泌不全性低身長症およびTurner(ターナー)症候群の除外を行うため,GH分泌刺激試験,染色体検査は検討すべきである.
ほかの成長障害をきたす疾患が否定され上記の定義を満たした場合,下記処方例によるGH治療を行う.
Px処方例
ノルディトロピン薬フレックスプロ注 1回33μg/kg(あるいは週に0.235mg/kg 週6~7回に分けて) 1日1回 就寝前に皮下注
その