診療支援
治療

リウマチ熱
rheumatic fever(RF)
山西愼吾
(東京山手メディカルセンター小児科・部長)

●病態

・A群β溶血性レンサ球菌(GAS:group A streptococcus)感染で惹起される自己免疫疾患.

・GAS感染から2~4週後に発症.

・主に関節,心臓,中枢神経,皮膚,皮下組織が標的臓器となる.

・リウマチ熱(RF)では特に心炎が特徴的となる.

・診断は2015年に米国心臓学会によって改訂されたJonesの診断基準が用いられる(GAS感染の証明+主症状,副症状).

●治療方針

 RFの基本治療にはa)~c)の3つの柱がある.a)b)は並行して行われる.

 a)原因の除去:GASに対する抗菌薬治療

 b)障害臓器に対する炎症の制御:抗炎症治療

 c)再発の予防:予防的抗菌薬治療

A.抗菌薬治療

 診断時にGASの証明ができない場合や,咽頭炎の所見がない場合でも投薬する.

1.第1選択薬

 ペニシリン系薬剤が第1選択.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊バイシリンG顆粒 1回1万単位/kg(成分量として) 1日3~4回 10~14日間

➋サワシリン細粒 1回10mg/kg(成分量として) 1日3~4回 10日間

2.ペニシリンアレルギーがある場合

 マクロライドまたはクリンダマイシンを選択する.GASのマクロライド耐性株に注意が必要.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

➊ダラシンカプセル(75mg) 1回5mg/kg 1日3回 10日間

➋クラリスドライシロップ小児用 1回7.5mg/kg(成分量として) 1日2回 10日間

B.抗炎症治療

 心炎の有無により治療を選択する.

1.心炎あり

 心炎に対しては一般的にはステロイドを使用する.経口で投与を開始し2~3週間継続する.その後,心炎および全身の炎症所見が改善していれば2~3か月でステロイドを漸減中止する.

Px処方例

➊プレドニゾロン散 1回0.35~0.65mg(成分量として) 1日3回(最大1日60~80mg)

 経口ステロイドに反応不

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?