診療支援
治療

全身性エリテマトーデス
systemic lupus erythematosus(SLE)
金城紀子
(琉球大学大学院育成医学)

治療のポイント

・小児SLEの診断は,「小児SLE診断の手引き」(小児慢性特定疾患情報センター,2014)や米国リウマチ学会(ACR)基準を参考に行う.尿所見が正常でも腎生検で組織型を確認し,疾患活動性と腎病理組織所見で治療方針を決定することが推奨される.

・臓器障害と疾患活動性評価は,臨床症状と検査所見〔尿所見,補体,抗DNA抗体(RIA法),抗dsDNA抗体,赤沈値(60分値)〕に画像検査を加え臓器障害の程度を評価する.また定量的評価として,SLEDAI(SLE disease activity index),BILAG(British isles lupus assessment group)indexによる疾患活動性(重症度)の総合評価が使用されている.

・ステロイド療法が基準である.重症度に応じて高リスク群ではメチルプレドニゾロン(mPSL)パルス療法や経静脈シクロホスファミド療法(IVCY),ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を使用して,早期に炎症を鎮静化させることを目標とする.

・寛解期は免疫抑制薬の併用を行い,ステロイドの副作用を減らす.

・臨床症状と検査所見〔尿所見,補体,抗DNA抗体(RIA法),抗dsDNA抗体,赤沈値(60分値)〕を指標として治療を決定する.

●病態

・活性化された自己反応性B細胞から産生される自己抗体が,免疫複合体を形成し,組織に沈着して障害を起こす.

・発熱,皮疹,全身倦怠で発症し,蛋白尿・血尿などの尿異常から腎炎を診断されることもある.

●治療方針

 第1選択薬は副腎皮質ステロイドである.ステロイド減量のために免疫抑制薬を積極的に使用する.発症時には尿所見はなくても,「silent lupus nephritis」が存在する場合があるため,腎生検を施行し組織分類によって治療選択を行うことが重要である.

A.寛解導入療法

1.副腎皮質ステロイド

 寛解導

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?