診療支援
治療

若年性皮膚筋炎・多発性筋炎
juvenile dermatomyositis(JDM),polymyositis(PM)
小林一郎
(KKR札幌医療センター 小児・アレルギーリウマチセンター・センター長)

治療のポイント

・ステロイドは現在も治療の中心である.

・初期に十分量のステロイドを用いるとともに,免疫抑制薬を併用してステロイドの減量をはかる.

・重症度・合併症によって初期治療が異なる.

・軽症から中等症における併用薬の第1選択はメトトレキサート(MTX)である.

・重症/劇症例ではステロイドパルス療法とシクロホスファミド静注療法を行う.

・間質性肺炎合併例ではステロイドパルス療法にカルシニューリン阻害薬,シクロホスファミド静注療法もしくは3剤併用療法を行う.

●病態

・若年性皮膚筋炎(JDM)は18歳未満で発症し,特徴的なヘリオトロープ疹・ゴットロン徴候・ゴットロン丘疹などの皮疹と近位筋優位の左右対称性筋力低下を呈する自己免疫疾患である.その初期の病態は,血管障害による阻血性変化とⅠ型インターフェロンによって誘導される筋線維のアポトーシスである.多発性筋炎は小児ではきわめてまれであり,ここではJDMを中心に記載する.

・JDMでは心外膜炎・心筋炎・I度房室ブロック・脚ブロックなどの心疾患や心機能低下,消化管の潰瘍や穿孔に伴う腹痛・下血・便潜血,関節炎・関節痛,間質性肺炎,異所性石灰化,リポジストロフィーなどの合併症が知られる.急速進行性肺炎はしばしば致死的であり,一方,異所性石灰化やリポジストロフィーは長期的な後遺症の原因となる.

・詳細は「若年性皮膚筋炎(JDM)診療の手引き2018年版」を参照.

●治療方針

 合併症と重症度により層別化し,早期に炎症を消退させる必要がある.

A.初期治療

 JDMの診断時には高解像度CTスキャンや血清KL-6などで間質性肺炎の合併を検索する.間質性肺炎非合併例で,嚥下困難,呼吸障害,皮膚もしくは消化管潰瘍性病変,全身浮腫のいずれかを呈する症例は重症あるいは劇症型とする.いずれも認められない場合は軽症~中等症とする.病変が皮膚に限局する無筋症性皮膚筋炎では,ス

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