診療支援
治療

マラリア
malaria
福島慎二
(東京医科大学病院渡航者医療センター・講師)

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[感]4類

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●病態

・ハマダラカによる蚊媒介感染症である.引き起こす病原体はPlasmodium属の原虫であり,熱帯熱,三日熱,四日熱,卵形,サルマラリア(P.knowlesi)がある.

・1~4週間ほどの潜伏期間をおいて発熱,悪寒や戦慄,頭痛などが出現する.

・熱帯熱マラリアは腎障害や意識障害を起こし重症化しやすい.

・血液検査では血小板減少とビリルビン増加が認められる.その他,AST,ALT,LDHが高値を示し,CRPは陽性であることが多い.

・診断は血液塗抹標本をギムザ染色し,光学顕微鏡でマラリア原虫を検出する.重症度の判定のためには原虫の赤血球寄生率を算出する.

●治療方針

 非熱帯熱マラリア,重症化していない熱帯熱マラリア,重症の熱帯熱マラリアに分けて考える.治療の効果判定はマラリア原虫の消失および発熱などの臨床症状の改善をもって判断する.

A.非熱帯熱マラリア,重症化していない熱帯熱マラリア

Px処方例 マラリア原虫の種類や赤血球の感染率に応じて,下記のいずれかを用いる.予防内服に使用されていた薬剤は避ける.

➊リアメット配合錠 5~14kg:1回1錠,15~24kg:1回2錠,25~34kg:1回3錠,35kg以上:1回4錠を初回,8時間後,その後は1日2回 朝夕食直後 2日間 経口投与(計6回)

➋マラロン配合錠・小児用配合錠 5~8kg:1回2錠(小児用配合錠),9~10kg:1回3錠(小児用配合錠),11~20kg:1回1錠(配合錠),21~30kg:1回2錠(配合錠),31~40kg:1回3錠(配合錠),41kg以上:1回4錠(配合錠) 1日1回 食後 3日間経口投与

B.重症の熱帯熱マラリア

 重症化の症状・徴候とし

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