診療支援
治療

重症熱性血小板減少症候群
severe fever with thrombocytopenia syndrome(SFTS)
西條政幸
(国立感染症研究所ウイルス第一部・部長)

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[感]4類

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●病態

・ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新規ウイルスであり,重症熱性血小板減少症候群(SFTS)による全身感染症で,重症例では意識障害,出血などの症状が認められ,ウイルス性出血熱に分類される致命率の高い全身感染症である.

・マダニ媒介性感染症であり,日本では西日本(近畿・北陸・紀伊半島を含む)で患者が報告され,初夏から秋に流行する.ただしSFTS患者の約半数でマダニに咬まれた事実が確認できないことから,刺し口がないからといってSFTSを除外できない.

・発熱,全身倦怠感,下痢などの一般的感染症状で始まり,約半数の例で意識障害やリンパ節腫大が認められる.意識障害(けいれんを含む),血小板数低値,AST高値,腎不全を伴うこと,血液凝固系の異常および高齢であることが予後不良の因子である.

・すべての患者で骨髄検査上,血球貪食症候群所見が認められる.高い死亡率の背景・原因には血球貪食症候群,サイトカインの過剰産生,多臓器不全があげられる.

・患者の血液・体液との接触によるヒトからヒトへの感染が起こることがあり,医療従事者などは感染予防策を徹底する必要がある.

・日本では小児例が報告されているが,多くは50歳以上の壮齢・高齢者に多い.

●治療方針

A.基本方針

1.SFTSに対して

 現時点では特異的な治療法はないことから対症療法が基本となる.抗ウイルス薬ファビピラビルはSFTSウイルスの増殖抑制効果が認められ,動物モデルを用いた研究でも治療効果が認められる.SFTS患者に対する治療効果を調べる研究が進められている.

2.治療

 ウイルス学的検査に基づく検査が必須であり,疑い患者を診た場合には最寄りの保健所に相談する.SFTS

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