診療支援
治療

急性心筋炎,劇症型心筋炎
myocarditis,fulminant myocarditis
松井彦郎
(東京大学医学部附属病院小児科・講師)

治療のポイント

・心症状以外にも腹痛・神経症状が前面に出ていることが多い.

・診断を疑った場合は専門施設に直ちに搬送する.

・循環破綻をきたす前に早期診断・早期治療介入を行う.

・集中治療介入,ECMO導入を躊躇しない.

・生命の危険,合併症が伴う可能性を両親に説明する.

●病態

・主にウイルス感染に伴う,心筋の急性炎症による急性心ポンプ不全が病態である.

・通常,先行して感冒症状・不定愁訴があることが多いが無症状の場合もある.初期症状としては循環不全症状よりも発熱・筋肉痛・全身倦怠感などが主体となり,特に消化器症状(食思不振・悪心・嘔吐)が多い.引き続き循環不全症状(蒼白・発熱・頻脈・胸部不快感・胸部痛・不整脈・低血圧・失神など)があり,診察では末梢循環不全・脈拍微弱・下腿浮腫・頸静脈怒張・奔馬調律・湿性ラ音などの循環不全徴候を認める.

・急性心筋炎のなかで心肺危機に陥るものを劇症型心筋炎といい,機械的心

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