保育園には0歳児を含む乳幼児がおり,感染症の初感染になる場合も少なくない.特に0歳児は,予防接種で予防が可能な疾患であっても,予防接種法上の定期接種の対象となっていない疾患や移行免疫も消失している場合もあり,感染症からいかに守るかが保育園における感染症対策の1つの目的となる.
学校は学校保健安全法の適用を受け,出席停止や臨時休業を行うことができる.しかし,インフルエンザはクラスの1/4~1/3の欠席が出た場合に臨時休業が実施されるため,蔓延防止だけでなく授業進度の調整の意味合いもある.
A.予防の重要性
感染症対策の基本は予防である.手洗いの励行や衛生指導とともに,予防接種が有効である.予防接種法上の定期接種については高い接種率の維持が重要で,未接種者については接種勧奨も大切である.しかし,予防接種がある疾患は限られており,また予防接種を受けていても発症する場合もあることから,早期対応により集団感染を予防する必要がある.そのためにはリアルタイムな情報収集による早期探知が重要となる.自園,自校で発生がない段階で,周辺や同自治体内などの保育園や学校での発生状況を把握し,教職員,園児児童生徒,保護者に伝え,予防をよびかけることが効果的である.地域内で同じ感染症情報を把握するシステムを活用し,医師会,保健所,教育委員会,保育課が連携して対応している自治体も多くなっている.
下記のa),b)を感染症の集団発生を早期に探知し,早期に対応するために活用されたい.
a)保育園・学校で集団発生を起こしやすい感染症別の対応(詳細は学校の感染症対策,文部科学省)
b)保育園の感染症対策(厚生労働省)
B.主な感染症
1.インフルエンザ
予防は手洗い,咳エチケット,ワクチン接種.毎年12月頃~3月頃にかけて流行する.ワクチン有効性は60%程度のため,流行を完全になくすことは困難である.