Ⅰ.咽頭・扁桃炎
●病態
A.急性咽頭炎
・咽頭の粘膜およびリンパ組織の急性炎症で,A群β溶連菌やインフルエンザ菌,ブドウ球菌などによる細菌感染あるいはアデノウイルスやコクサッキーウイルス,インフルエンザウイルスなどのウイルスが原因となる.
・主な症状は発熱や急な咽頭痛,嚥下時痛のほか,時として放散痛による耳痛も訴える.
B.慢性咽頭炎
・咽頭の慢性炎症で,成人では喫煙,飲酒などによる慢性的曝露が誘因となるが,小児例ではアレルギーほか,鼻呼吸障害による口呼吸が咽頭粘膜の乾燥を招くことで生じる.
・主な症状は咽頭違和感や異物感,乾燥感で,時として咳嗽を伴うことがある.痛みはあっても軽度である.くしゃみや鼻漏,鼻閉の訴えがある場合はアレルギー性鼻炎の関与を疑い,日常的な口呼吸ではアデノイドの増殖も考慮する.
C.急性扁桃炎
・急性咽頭炎と同様に溶連菌やインフルエンザ菌,ブドウ球菌などによる細菌感染あるいはアデノウイルスやコクサッキーウイルス,インフルエンザウイルスなどのウイルスが原因となる.小児ではアデノウイルスなどウイルス感染による扁桃炎が多いとされる.また溶連菌感染による扁桃炎は重症化しやすく,小児例でも扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎などの二次的な疾患に移行することがある.
・症状は発熱や急な咽頭痛のほか,咽頭の粘膜びらんや口内炎様所見,軟口蓋の点状出血などを認めればウイルス性の扁桃炎を疑う.また小児から青年では伝染性単核球症や単純ヘルペスによる扁桃炎も鑑別が必要となる.粘膜病変のほか口蓋扁桃の陰窩に付着する白苔や頸部リンパ節の腫脹を伴う場合は,初診時に血液検査,免疫血清学的検査も実施する.
D.慢性扁桃炎(反復性扁桃炎)
・慢性扁桃炎は扁桃炎が持続する状態である.一方で,反復性扁桃炎は急性扁桃炎を繰り返す場合と定義され,その頻度については年に4回以上とする意見が多いとされるが,耳鼻咽喉科医と小児科医
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