診療支援
治療

市中肺炎
community-acquired pneumonia
宮下修行
(関西医科大学教授・呼吸器感染症・アレルギー科)

頻度 よくみる

GL成人肺炎診療ガイドライン2017

◆病態と診断

A病態

・肺炎は発症場所によって市中発症型肺炎と院内発症型肺炎に大別され,市中肺炎は病院外で日常生活していた人に発症した肺炎で,医療・介護関連肺炎を除外する.

市中肺炎は予後の面から重症度を分けることができ,治療場所決定の目安に5つの項目(年齢,脱水,呼吸状態,意識状態,血圧)で判定するA-DROPシステムを用いる.本システムで0点(軽症)は外来治療を,1または2点(中等症)は外来治療または短期入院治療を,3点(重症)は入院治療を,4または5点(超重症)はICU入室を推奨している.ただし本システムの欠点は,受診時点の重症度判定ができても,その後,急速に進行する症例の判別ができないことである.このため,ガイドラインでは重症度判定の前段階としてquick-SOFAを行うことを推奨している.

B診断

・市中肺炎で頻度の高い原因微生物は,肺炎球菌インフルエンザ菌マイコプラズマであり,薬剤耐性対策のため迅速検査法(喀痰グラム染色や抗原検査)の実施が推奨されている.また,頻度は高くないものの,治療の遅れで重症化し致死的となるレジオネラの尿中抗原検査も推奨されている.

・市中肺炎が医療・介護関連肺炎や院内肺炎と大きく異なる点は,非定型肺炎の関与である.このため,微生物学的検査で原因微生物が推定されなかった場合,肺炎を非定型肺炎と細菌性肺炎に分ける鑑別表()の使用を推奨している.

・非定型肺炎と細菌性肺炎の鑑別表を用いた場合,レジオネラは細菌性肺炎に分類される.このため,細菌性肺炎が疑われた場合,日本化学療法学会で考案したレジオネラ・スコアモデル6項目の使用を推奨している.

◆治療方針

A治療

 市中肺炎のエンピリック治療に際して考慮すべきポイントは,①原因微生物の頻度と好発年齢,②薬剤耐性状況の把握,③レスピラトリーキノロンの特性把握,

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