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GL薬剤性腎障害診療ガイドライン2016
治療のポイント
・急性尿細管間質性腎炎の最多は薬剤性であり,治療の基本は被疑薬の中止である.進行性の場合,ステロイド投与を考慮する.
・自己免疫疾患〔シェーグレン症候群,ループス腎炎,IgG4関連腎臓病,サルコイドーシス,TINU(tubulointerstitial nephritis and uveitis)症候群〕では免疫抑制療法を行う.
・慢性尿細管間質性腎炎では原因対処を検討したうえで,CKDの管理を行う.
Ⅰ.急性尿細管間質性腎炎
◆病態と診断
A病態
・急性尿細管間質性腎炎(ATIN:acute tubulointerstitial nephritis)は急性(1~7日)から亜急性(8~90日)の経過の腎機能低下を呈し,腎組織所見は間質への炎症細胞浸潤を呈する.
・原因として薬剤性ATINが最多であり,そのほか自己免疫疾患(シェーグレン症候群,ループス腎炎,サルコイドーシス,IgG4関連腎臓病,TINU症候群),糸球体腎炎や小型血管炎に随伴する病変,感染症がある.
・薬剤性ATINはすべての薬剤が原因となるアレルギー反応による.抗菌薬,NSAIDs,プロトンポンプ阻害薬,メサラジン(5-ASA),免疫チェックポイント阻害薬などの投与で注意が必要である.
・シェーグレン症候群の腎病変(5%)の多くはATINである.
・IgG4関連腎臓病は中高年男性に好発し,IgG4陽性形質細胞を含む単核球浸潤と線維化を認め,涙腺唾液腺炎,自己免疫性膵炎,後腹膜線維症,硬化性胆管炎などを併発する.
B診断
・腎機能低下(血清Cr上昇)で発見される.軽度の蛋白尿,尿中間質障害マーカー〔N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG),β2-ミクログロブリン〕上昇を認める.
・画像上,両腎腫大を認める.補助診断で行うガリウム(Ga)シンチグラフィの感度・特異度は