診療支援
治療

アミロイドニューロパチー
amyloid neuropathies
小池春樹
(佐賀大学教授・脳神経内科学)

治療のポイント

・原因の特定,すなわちアミロイドーシスの病型診断を的確に行い,それぞれの病型に応じた疾患修飾療法を検討する.

・全身性疾患であり,他臓器,特に心臓の評価も定期的に行う必要がある.

・複数の疾患修飾療法が上市されているが,症状が残存することが多く,対症療法も依然重要である.

◆病態と診断

A病態

・アミロイドニューロパチーとは,線維状の蛋白質からなるアミロイドが末梢神経に沈着することによって末梢神経障害(ニューロパチー)をきたす疾患である.

・ニューロパチーにより,痛み・しびれなどの感覚障害,筋力低下・筋萎縮などの運動障害,下痢・便秘・起立性低血圧・尿閉などの自律神経障害が生じる.

・アミロイドニューロパチーをきたす代表的な疾患として,トランスサイレチンの沈着による遺伝性トランスサイレチン(ATTRv)アミロイドーシスと免疫グロブリン軽鎖の沈着によるALアミロイドーシスがある.

・ATTRvアミロイドーシスはトランスサイレチン遺伝子の変異によって生じるのに対し,ALアミロイドーシスは形質細胞の異常に伴うモノクローナルな免疫グロブリンの産生により生じる.

B診断

・生検によりアミロイドの有無を確認する.

・ニューロパチーは全身性アミロイドーシスの一環として出現することから,他臓器,特に心臓のアミロイド沈着を示唆する所見はアミロイドニューロパチーを診断するうえで重要な手がかりとなる.

・末梢神経以外でのアミロイド検出のための生検部位としては,消化管粘膜,腹壁脂肪,皮膚,唾液腺などがある.

・アミロイドの原因蛋白は免疫染色で同定可能なことが多いが,質量分析などの手法による鑑別が必要な場合もある.

・ATTRvアミロイドーシスでは,確定診断のために遺伝子検査を施行する.

◆治療方針

 アミロイドーシスの病型診断を的確に行い,病態に応じた疾患修飾療法を検討する.ニューロパチーに伴い,痛み・しびれ,筋力低

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