診療支援
治療

小児のIgA血管炎
IgA vasculitis in children
中西浩一
(琉球大学大学院教授・小児科学)

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GL小児IgA血管炎診療ガイドライン2023

GL血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)

ニュートピックス

・本邦初の「小児IgA血管炎診療ガイドライン2023」が発刊された.

治療のポイント

・IgA血管炎は自然に治癒することが多く,対症療法が基本である.

・腹痛が著明な場合は,絶食・輸液,ステロイド投与を実施する.

・長期的疾患予後は紫斑病性腎炎の経過によるため,その管理が重要である.

◆病態と診断

A病態

・IgA血管炎は,大半は小児期に発症する.

・IgA血管炎は,主としてIgAを含む免疫複合体による全身性の細血管炎がその病態である.

・IgA血管炎の病因は不明であるが,上気道炎などに引き続いて発症することが多い.

・紫斑病性腎炎もIgA腎症と同様に,糖鎖不全IgA1を含む免疫複合体関連腎炎と考えられている.

B診断

・血小板減少を伴わない紫斑の出現が本症の診断に必須であり,関節症状は約70%,腹部症状は50~70%に認められる.

・急性期には血中凝固第ⅩⅢ因子の低下を認めることがある.

・腎炎の合併は20~60%に認められるが,IgA血管炎発症時には尿異常を認めず,その後の経過中に尿異常が出現することが多いので,IgA血管炎発症後少なくとも1~2か月,できれば半年は腎炎の合併に注意して経過観察すべきである.

・紫斑病性腎炎は,無症候性血尿や軽度の蛋白尿を呈することが多く,腎炎も比較的自然治癒のみられる疾患ではあるが,急性腎炎症候群,ネフローゼ症候群,急速進行性腎炎症候群を呈することもあり,臨床像が多彩である.

◆治療方針

 適応に従い腎生検を施行し,国際小児腎臓病研究班(ISKDC)の組織分類により重症度を評価し,それに応じて治療を実施する.血尿のみの症例では無治療にて経過観察でよいが,それ以外では腎生検を考慮する.腎予後と発症早期の組織学的重症度とはよく相関する.一方,臨

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