診療支援
治療

エリテマトーデス(1)SLE
Systemic lupus erythematosus
神田 奈緒子
(日本医科大学千葉北総病院教授)

病態

 SLEは多彩な自己抗体が産生され,多臓器病変を呈する自己免疫疾患である.

【疫学】SLEの有病率は人口10万人あたり33人とされる.若年女性(20~40歳代)に好発する(男女比約1:9).SLEの特定疾患医療受給者数は2014年時点で60,122人と報告されている.

【病因・発症機序】SLEの病因はいまだ不明であるが,遺伝的要因(HLA領域,Fcγ receptor genesIRF5STAT4PTPN22TNFAIP3BLKBANK1TNFSF4ITGAMなどのリスク遺伝子)を有する個体に,環境的要因(紫外線,ウイルス感染,ホルモンなど)による誘導が加わって,自己の細胞に対する免疫寛容が破綻し,多彩な自己抗体が産生され,免疫複合体が諸臓器に沈着することにより補体の活性化を生じ,腎臓をはじめとする多臓器に障害をもたらすと考えられている.

【臨床症状】ループス腎炎をはじめ,神経症状(けいれん,精神症状),血液障害(溶血性貧血,白血球・血小板減少),漿膜炎(胸膜炎,心外膜炎)などの臓器病変のほか,多彩な皮膚症状(急性・慢性皮膚ループス,脱毛,口腔潰瘍)や関節症状を呈し,抗核抗体,抗dsDNA抗体,抗Sm抗体,抗リン脂質抗体などの自己抗体が陽性になる.


診断

 American College of Rheumatology(ACR)の1997年改訂分類基準が長く用いられてきたが,2012年にSystemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)分類基準が提唱された(表12-2).SLICC分類基準は,SLEにみられる所見を臨床的基準と免疫学的基準の2つに分け,それぞれから1項目以上,計4項目以上である場合,または腎生検でSLEに合致した腎症があり,抗核抗体あるいは抗dsDNA抗体が陽性である場合,SLEと

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