病態
本症の発症頻度は10万人あたり0.5人/年(米国)といわれ,病態は免疫複合体が血管壁に沈着することにより生じる細小血管炎である.補体低下の有無により,正補体血症性,低補体血症性,そして特殊型である低補体血症性蕁麻疹様血管炎症候群の3型に分類され,通常,低補体血症性は正補体血症性よりも重症である.
診断
蕁麻疹(様)の皮疹を呈する疾患,すなわち,蕁麻疹,蕁麻疹様紅斑,成人発症Still病,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)などが鑑別を要する.
【問診で聞くべきこと】感染症,膠原病や悪性腫瘍合併例,薬剤誘発性の報告があるため,これらの有無について聴取する.
【臨床症状からの診断】本症の臨床像は紫斑を伴う蕁麻疹様紅斑(図13-1)図であり,発熱,関節痛を伴う例が多い.また,消化器症状(腹痛など)や呼吸器症状(咳嗽など)を伴うこともまれではない.紫斑は下肢に好発し,その大きさは点状出血から大型の皮下出血まで,さまざまである.蕁麻疹様血管炎は初期に蕁麻疹の臨床像を呈することもまれではないが,皮疹が1~2日持続し,痒みに加えて痛みを伴う例が多い.
【必要な検査とその所見】血算,生化学に加えて,補体(CH50,C3,C4,C1q),CRP,ASO,抗核抗体,抗SS-A抗体,抗DNA抗体を計測する.また,他臓器病変検索のため,尿定性と沈渣,および胸部X線撮影を行う.通常,SLE(全身性エリテマトーデス)では低補体血症性,SjS(Sjögren症候群),感染症,薬剤性では正補体血症性である.
【病理組織学的検査】①新しい皮疹ではなく,紫斑を伴う暗赤色の紅斑から採取したほうが典型的な所見を得られやすい.②組織学的には真皮上層の赤血球の漏出,核破壊を伴う好中球の浸潤など,いわゆる核破砕性血管炎の組織像を呈する.大型の皮疹を呈する例では好中球が真皮全層性にみられることが特徴である.蛍光抗体直接法
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