診療支援
治療

Weber-Christian症候群
Weber-Christian syndrome
金澤 伸雄
(兵庫医科大学主任教授)

病態

 全身の発熱を伴って非化膿性脂肪織炎による有痛性皮下結節が多発し出没を繰り返す原因不明の疾患と定義され,再発性熱性結節性非化膿性脂肪織炎(relapsing febrile nodular non-suppurative panniculitis)ともよばれる.1892年に初めて記載され,1925年のWeber,1928年のChristianの報告によって確立した歴史ある疾患であるが,1998年にWhiteらによりそのほとんどが異なる疾患であったと報告されてより,疾患の独立性に疑問がもたれ,むしろ安易にこの病名を使用すべきでないとされている.一方,近年また本疾患名の報告が増えてきており,全身性自己炎症性疾患としての側面からも興味がもたれている.

【頻度】PubMedにて“Weber-Christian”で検索すると,著者名での一致を除いて1999年に10件あった論文数が2009年に1件まで減少したが,2016年は5件あった.厚生労働省難治性疾患政策研究事業にて2014~2015年に行われた全国調査でも,過去5年間に本疾患と診断された症例が20例近くあったことから,鑑別をしっかりしたうえでそれでも残る稀少疾患として,Weber-Christian症候群との呼称が提唱されている.

【病因・発症機序】不明である.

【臨床症状】皮疹は四肢,特に下肢に多く,治癒後に陥凹を残す.発熱以外の全身症状として,全身倦怠感,頭痛,関節痛,筋肉痛などを伴うことが多いが,内臓の脂肪織炎をきたすと腹痛や胸痛を伴い肝臓や肺,心臓などの臓器障害のほか,播種性血管内凝固,脳出血やマクロファージ活性化症候群,敗血症などの重症合併症を伴い予後不良となることもある.中高年の女性に多いが,若年者の報告も少なくない.


診断

【診断基準】疾患の定義から,反復性の全身性発熱,反復性の圧痛・熱感・発赤を伴う皮下硬結という臨床所

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