診療支援
治療

風疹
Rubella
山本 剛伸
(川崎医科大学准教授)

病態

 プラス鎖1本鎖RNAウイルスである風疹ウイルスの初感染時に発症するウイルス性発疹症の1つである.発症後2~3日で軽快することから,一般的に「三日はしか」といわれる.飛沫感染,接触感染により感染拡大する.同じ飛沫感染するインフルエンザ(基本再生産数R0=2~2.4)より伝染力が強い(R0=5~7).発熱,発疹,リンパ節腫脹を主症状とする.

 風疹は,感染症法の5類感染症に指定されており,診断した医師は直ちに保健所を通して都道府県知事に届け出を提出する必要がある.

【病因・発症機序】風疹ウイルスは,マトナウイルス科ルビウイルス属に分類されるプラス鎖1本鎖RNAウイルスである.初感染のあと,不顕性感染で終結する例から,合併症を併発する例までさまざまである.以前は小児例が多かったが,ワクチン接種の徹底により,最近は発症例の多くが成人である.2~3週間の潜伏期間ののち,項部・頸部を中心とするリンパ節腫脹から始まり,軽微な発熱,発疹,眼球結膜の充血を認める.皮疹は淡紅色調で,顔面から全身に拡大し,融合せず,色素沈着を残さず3~4日以内に消失する(図26-11).多くの例で,口腔内にForchheimer斑(点状紅斑・紫斑)がみられる.


診断

【臨床症状からの診断】項部を中心とするリンパ節腫脹,皮疹,発熱,粘膜症状などから判断するが,似た症状を呈する疾患の鑑別のために抗体価測定などの検査が必要となる.

【合併症】妊娠20週頃までの妊娠初期に罹患した場合は,経胎盤感染して児に白内障,難聴や心疾患を伴う先天性風疹症候群(CRS:congenital rubella syndrome)をきたすリスクがある.関節炎,血小板減少性紫斑病,脳炎を伴うことがある.

【必要な検査とその所見】咽頭ぬぐい液,血液,尿をサンプルとしたreal-time RT-PCR法による風疹ウイルス遺伝子の検出が地方

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