▼概説
パラコートは除草剤として用いる農薬である.本来は無味無臭で,常温では個体である.溶解液を飲料水と誤認する誤飲事故や,服毒自殺が多く発生した.毒性が非常に強いため高濃度製剤の生産は中止され,1980年代に低濃度パラコートとジクワットの合剤の製品に変更された.また,青緑に着色し,催吐剤を混入,さらに強い臭いをつけるなどの誤飲防止処置が行われた.しかし,農家には古い高濃度製剤が残存しており,それによる中毒症例も発生している.大量摂取では1~2日で低用量性ショックとなり死亡する.急性期死亡を免れても肺線維症が進行し呼吸不全により死亡する.
診断は発症状況から確認する.経口摂取すると添加された催吐剤により激しく嘔吐し,腹痛や下痢を伴う.口腔粘膜にびらんや舌炎を伴う.トキシドロームとして口周囲の青色の着色や吐物が青ければ疑う.尿定性反応として,尿に水酸化ナトリウムを加えてアルカリ化しハイドロサ