診療支援
検査

サーファクタントプロテインD〔SP-D〕   136点
surfactant protein D
前川 真人
(浜松医科大学教授・臨床検査医学)

基準値 110ng/mL未満


測定法 ELISA,EIA,CLEIA


検体量 血清0.1mL


日数 3~5日


目的 間質性肺炎の診断


Decision Level

●高値

[高頻度]特発性間質性肺炎87%,膠原病関連間質性肺炎71%,肺胞蛋白症80%,過敏性肺炎,放射線肺炎 [可能性]サルコイドーシス,肺結核,びまん性汎細気管支炎,慢性肺気腫,気管支拡張症,塵肺,細菌性肺炎 [対策]原疾患の診断と治療

●低値

[高頻度・可能性]健常者,気管支喘息


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Ⅱ型肺胞上皮細胞で産生されるリン脂質-蛋白複合体の一種であり,肺胞腔に分泌されることにより肺胞の虚脱を防止する.活動期の間質性肺炎症例の血中で高値を示す.酵素免疫測定法により特発性間質性肺炎,膠原病関連間質性肺炎,肺胞蛋白症では,健常者群に比較して有意に高値であった.

 ①間質性肺炎と非間質性肺炎の鑑別,②間質性肺炎,過敏性肺炎などの急性増悪期,活動性の評価,③予後推定の指標などに有用とされる.

 なお,上昇した場合の臨床的意義は,類似検査のシアル化糖鎖抗原KL-6およびサーファクタントプロテインA(SP-A)とほぼ同等である.

 気管支洗浄液中でも増加するとされるが,そのレベルは低く,臨床的意義は確定していない.

 胎児肺由来のSP-Dは羊水中に出現し,羊水中濃度を測定することによって胎児肺の成熟度を判定するマーカーとなり,未熟児にみられる呼吸促迫症候群(IRDS)の診断に有用である.


[関連する検査]

 「サーファクタントプロテインA」の項を参照

 CT所見との比較では,血清SP-D濃度はすりガラス影のみならず,びまん性の胞隔肥厚や肺胞領域の線維化に伴う肺胞・肺胞道の虚脱,内腔の容積減少による肺葉縮小を反映する濃い肺野濃度上昇をも反映し,肺活量の減少率が速いほど初診時からSP-Dが高値を示す傾向にある.したがって,特発性

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