診療支援
検査

インフルエンザ
栁原 克紀
(長崎大学大学院教授・臨床検査医学)

病態

 インフルエンザウイルスの感染により,くしゃみ,鼻水,のどの痛み,関節痛,発熱などかぜ症状を引き起こす.特に高齢者や乳幼児,呼吸器疾患患者では,肺炎,脳炎など重症化しやすく,きわめて進行も速く生命に関わる場合もある

・新型インフルエンザ

 ①従来の季節性インフルエンザとは抗原性が異なるため,免疫を獲得していないヒトが多いことから,市中に急速に蔓延し,生命および健康に重大な影響を与える恐れがあると考えられているものである.②2009年に世界で蔓延した新型インフルエンザ〔influenza A(H1N1);当時のWHO呼称〕はウイルスの主要遺伝子のHAとNAが豚インフルエンザウイルスに由来するため,豚インフルエンザとも呼ばれた.しかし,従来の豚インフルエンザウイルスとは異なり,異なる4種類(異なる豚由来が2種とトリ,ヒト)のインフルエンザウイルス遺伝子からなるウイルスである.現在は通常の季節性インフルエンザとして扱われ,「インフルエンザ(H1N1)2009」と名称も変更された.③診断検査としてはウイルス遺伝子検出検査(BLS-2対応が適当),ウイルス分離(発生初期はBLS-3対応が適当)がある.


異常値

●インフルエンザウイルス迅速抗原検査 陽性

●ウイルス分離による証明

●RT-PCR法による遺伝子検出

●抗体検査

・ペア血清について4倍以上の有意上昇

・CF法:型特異的でA型あるいはB型を区別できる

・HI法:HA蛋白質に対する抗体を測定するため株特異的に上昇


経過観察のための検査項目とその測定頻度

●ウイルス抗原検出‍ [急性期]インフルエンザウイルスの排泄は発症前1日~発症後4日くらいまでであるので,この時期に採取した検体で,迅速診断キットを用いて測定する.検体中のウイルス量が検出限界以下であれば陰性となるので,臨床症状などからインフルエンザが疑われ抗原検出を必要とする場合には,他キットで

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