診療支援
検査

小児の呼吸器感染症
大西 宏明
(杏林大学医学部教授・臨床検査医学講座)

病態

 大部分がウイルス性の上気道感染症(いわゆる“かぜ”)であるが,一部に細菌性の扁桃炎や気管支炎,肺炎などの下気道感染症もみられる.症状は,鼻汁,咳,咽頭痛といった上気道の症状に,しばしば発熱や倦怠感,頭痛,関節痛を伴い,気管支炎・肺炎では胸痛や呼吸困難を生じる場合もある


[参考]

 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022

 小児の咳嗽診療ガイドライン2020


異常値

●白血球 ウイルス性では正常から減少,細菌性では増加することが多い.重症COVID-19ではリンパ球数減少を認める

●CRP ウイルス性では正常から軽度増加,細菌性では増加することが多い.アデノウイルスなど一部のウイルスでは著増することもある

●咽頭ぬぐい液の培養検査 細菌性(特に溶連菌の場合)で陽性になる

●鼻咽頭ぬぐい液の抗原検査 インフルエンザウイルス,溶連菌,マイコプラズマ,アデノウイルス,RSウイルス,ヒトメタニューモウイルス(hMPV),SARS-CoV-2などの感染において,それぞれの特異的抗原検査が陽性となる

●鼻咽頭ぬぐい液・唾液の核酸増幅検査 COVID-19では,SARS-CoV-2核酸陽性となる

●血中特異抗体検査 マイコプラズマ感染や百日咳で陽性となる

●IGRA 結核で陽性となる.BCG接種では陽性にならない

●胸部X線 肺炎や細気管支炎で異常がみられる


経過観察のための検査項目とその測定頻度

 肺炎で入院した場合などは,以下の検査で経過を観察する

・白血球,CRP 1週間に2~3回

・胸部X線 1週間に1~2回


診断・経過観察上のポイント

①大部分のかぜ症候群では検査は不要であるが,症状が強く長引く場合や,肺炎など重症化が疑われる場合には各種検査を実施する.②初診時には,通常は検査の必要はないが,インフルエンザの流行期には治療や生活管理の観点から鼻咽頭ぬぐい液のインフルエンザ抗原検査を行うことが多い.その場合,

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