診療支援
診断

急性冠症候群
acute coronary syndrome(ACS)
東谷 迪昭
(東京逓信病院循環器内科)

急性冠症候群とは

定義

 急性冠症候群(ACS)は,冠動脈粥腫(プラーク)の破綻とそれに伴う血栓形成により冠動脈内腔が急速に狭窄,あるいは閉塞し,心筋が虚血,壊死に陥る病態を示す症候群である.

 ACSはさらに,心電図でST上昇変化があるST上昇型心筋梗塞,ST上昇がなく心筋障害の定義である心筋逸脱酵素トロポニンの上昇を認める非ST上昇型心筋梗塞,トロポニン上昇を認めない不安定狭心症の3つに分類される(図1)

 また,急性心筋梗塞は欧州心臓病学会から2018年に第4版の世界定義(world definition)が提唱された.その定義において5つの病型に分類しているが,心筋トロポニン値,新規の虚血性変化などの情報がなく心筋虚血が原因である心臓死を心筋梗塞type 3と定義している.つまりACSには,院外突然死という表現型があることを忘れてはいけない.

患者の訴え方

 ACSの主訴としては安静時胸痛

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