診療支援
診断

いびき
70歳 女性
小松 雅宙
(信州大学医学部内科学第一教室)
花岡 正幸
(信州大学医学部附属病院 病院長/信州大学医学部内科学第一教室 教授)

現病歴:姉と旅館に宿泊した際に,睡眠中のいびき,無呼吸を指摘された.心配となり,受診となった.

既往歴:高血圧症.

生活歴:専業主婦.喫煙歴なし.飲酒歴なし.

家族歴:特記すべきことはない.

身体所見:意識は清明.身長151.1cm,体重72.5kg,BMI 31.75,脈拍66回/分(整),血圧132/66mmHg,呼吸数14回/分,SpO2 96%(room air).頸部リンパ節を触知しない.modified Mallampati(マランパチ)分類Ⅳ,Tonsillar grade Ⅰ.心音に異常なし.呼吸音に左右差なし,副雑音を聴取しない.腹部は平坦・軟.下肢に浮腫を認めない.

【問題点の描出】

高血圧症を有する70歳の女性.周囲に指摘されたいびき,無呼吸のため受診.肥満を伴っている.また軟口蓋の観察が困難である.

診断の進め方

特に見逃してはいけない疾患

・悪性腫瘍

・喉頭浮腫

頻度の高い疾患

・睡眠時無呼吸症候群

・鼻炎

・副鼻腔炎

・アルコール摂取

・薬物摂取

この時点で何を考えるか?

医療面接と身体診察を総合して考える点

 いびき,無呼吸で受診した患者に対して,自覚症状の有無および緊急性を判断する必要がある.

 今回の場合,周囲にいびきを指摘されて来院されたため,自覚症状は乏しかったが,Epworth(エプワース) sleepiness scale(ESS)による評価を行ったところ,14点であった.

 また,気道閉塞を示唆する聴診所見や呼吸状態などの全身状態の変化を伴わないため,緊急での処置が必要ではないと判断し,医療面接,身体診察,および検査を進めていく.

‍ 〈p〉いびきは本人が自覚していないことが多いため,ベッドパートナーへの確認が重要である.今回は,姉と同室で宿泊したことが来院の契機となった.その場合,〈p〉特に無呼吸を伴っていたかどうかが重要である.そのほか,自覚症状として睡眠呼吸障害関連症

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