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治療

【7】膠原病の肺胸膜病変
pleuropulmonary lesions associated with connective tissue diseases
須田 隆文
(浜松医科大学教授・内科学第二)

疾患を疑うポイント

●膠原病の患者において,咳,痰,息切れ,胸痛などの呼吸器症状がみられた場合.

学びのポイント

●膠原病の肺胸膜病変は,間質性肺炎,細気管支・気道病変,血管病変,胸膜病変など多彩で,原疾患によってそれぞれの頻度が異なる.

●最も頻度が高い病変は間質性肺炎であり,膠原病の予後因子として重要である.

▼定義

 膠原病は全身の結合織を系統的に侵す原因不明の慢性炎症性疾患であるが,特に肺胸膜病変は本症の予後を左右する因子として重要である.膠原病でみられる肺胸膜病変は,間質性肺炎,細気管支・気道病変,血管病変,胸膜病変など多岐にわたり(表2-30),これらの病変が混在することも少なくない.

▼疫学

 原疾患によって合併する肺病変の頻度に違いがあり,間質性肺炎は全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)や多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis:PM/dermatomyositis:DM)に多いが,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)では少ない(表2-31).また,細気管支・気道病変は関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)やSjögren(シェーグレン)症候群(Sjögren syndrome:SS)で頻度が高い.血管病変では,肺高血圧はSScや混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)でみられ,肺胞出血はSLEに多い.

▼分類

 以下に代表的な肺胸膜病変について概説する.

間質性肺炎

 膠原病に合併した間質性肺炎は,組織学的に特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)の組織分類に準じて分類されることが多い(表2-32).各組織パターンの頻度は膠原病によって異なる.膠原病全体とし

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