疾患を疑うポイント
●膠原病の患者において,咳,痰,息切れ,胸痛などの呼吸器症状がみられた場合.
学びのポイント
●膠原病の肺胸膜病変は,間質性肺炎,細気管支・気道病変,血管病変,胸膜病変など多彩で,原疾患によってそれぞれの頻度が異なる.
●最も頻度が高い病変は間質性肺炎であり,膠原病の予後因子として重要である.
▼定義
膠原病は全身の結合織を系統的に侵す原因不明の慢性炎症性疾患であるが,特に肺胸膜病変は本症の予後を左右する因子として重要である.膠原病でみられる肺胸膜病変は,間質性肺炎,細気管支・気道病変,血管病変,胸膜病変など多岐にわたり(表2-30図),これらの病変が混在することも少なくない.
▼疫学
原疾患によって合併する肺病変の頻度に違いがあり,間質性肺炎は全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)や多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis:PM/dermatomyositis:DM)に多いが,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)では少ない(表2-31図).また,細気管支・気道病変は関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)やSjögren(シェーグレン)症候群(Sjögren syndrome:SS)で頻度が高い.血管病変では,肺高血圧はSScや混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD)でみられ,肺胞出血はSLEに多い.
▼分類
以下に代表的な肺胸膜病変について概説する.
➊間質性肺炎
膠原病に合併した間質性肺炎は,組織学的に特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)の組織分類に準じて分類されることが多い(表2-32図).各組織パターンの頻度は膠原病によって異なる.膠原病全体とし
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 治療薬マニュアル2024/シクロホスファミド水和物《エンドキサン》
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/11 サルコイドーシス
- 臨床検査データブック 2023-2024/シアル化糖鎖抗原KL-6〔KL-6〕 [保] 111点
- 今日の治療指針2023年版/特発性間質性肺炎(特発性肺線維症を除く)
- 新臨床内科学 第10版/2 顕微鏡的多発血管炎
- 今日の治療指針2023年版/膠原病に伴う間質性肺疾患
- 新臨床内科学 第10版/【1】間質性肺炎総論
- 新臨床内科学 第10版/3 肺胞蛋白症
- 今日の診断指針 第8版/膠原病肺
- 新臨床内科学 第10版/1 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ-ストラウス症候群)
- 今日の診断指針 第8版/ANCA関連肺疾患