診療支援
治療

3 肺胞蛋白症
pulmonary alveolar proteinosis
中田 光
(新潟大学医歯学総合病院・教授)

疾患を疑うポイント

●自己免疫性,続発性遺伝性肺胞蛋白症がある.

●わが国の罹患率は,自己免疫性肺胞蛋白症で人口百万対1.65.

●自己免疫性肺胞蛋白症は,全体の90%以上を占め,抗GM-CSF自己抗体が病因である.

学びのポイント

●肺の末梢気道におけるサーファクタントの分解吸収に障害があり発症する.

●低酸素血症の原因は拡散障害と換気血流不均等による.

●胸部CT画像ですりガラス様陰影を呈する.

▼定義

 肺胞蛋白症は図2-59に示すように肺胞および呼吸細気管支内にリン脂質とサーファクタントアポ蛋白,血漿成分などが貯留するまれな疾患である.

▼病態

 貯留している物質の大部分は,蛋白ではなく,リン脂質であることから,肺胞リポ蛋白症(alveolar lipoproteinosisあるいはalveolar phospholipoproteinosis)ともいう.このような病態は,サーファクタントの生成や輸送の異常でも分解の低下でも起こりうるが,成人発症の肺胞蛋白症では,サーファクタントの分解異常により発症すると考えてよい.貯留したサーファクタントにより,毛細血管と末梢気道の間の拡散障害が起こり,またサーファクタントが貯留した部分と貯留していない部分の間に生じる換気血流不均等により低酸素血症が進行する(図2-59)

▼病因・分類

 肺胞マクロファージは,骨髄顆粒球マクロファージコロニー形成ユニット(granulocyte-macrophage colony forming unit:CFU-GM)由来の胎生単球が肺に在住し,Ⅱ型肺胞上皮が産生する顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony stimulating factor:GM-CSF)により局所で分化・増殖したものである(図2-60a).成熟した肺胞マクロファージは,末梢気道において

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?