診療支援
治療

2 冠攣縮性狭心症
vasospastic angina
下川 宏明
(東北大学大学院教授・循環器内科学)

▼定義

 心外膜側を走行する冠動脈の攣縮により血管内腔が狭小化して一過性に血流が低下し,心筋虚血が引き起こされることによって発生する狭心症(supply ischemia/primary angina)である.

▼病態

 多くの場合,先行する血圧や心拍数の上昇などの心筋酸素消費量の増大を伴わないことから労作性狭心症に代表されるdemand ischemia/secondary anginaとは区別される.冠攣縮は狭心症のみならず,急性冠症候群や重症不整脈,心臓性突然死など多岐にわたる心疾患の発症に深く関与し,循環器領域において重要な病態の1つである.冠攣縮は心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈局所の収縮能の亢進が原因と考えられ,血管平滑筋の過収縮が主たる要因である.血管平滑筋の収縮は,細胞内カルシウム濃度の増加によるミオシン軽鎖のリン酸化によって誘導されるが,冠攣縮の病態において細胞内カルシウム

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