疾患を疑うポイント
●加齢変性性の大動脈弁狭窄症が増えてきている.
●高齢者で収縮期雑音が聴取されれば疑う.
●労作時息切れ,胸痛,失神が主な症状.
学びのポイント
●収縮期雑音が聴取される主な疾患は大動脈弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症,心室中隔欠損症.高齢者で収縮期雑音が聴取され,さらに遅脈が認められれば大動脈弁狭窄症の可能性が高い.
●徐々に進行するが,有効な内科的治療法はない.時に突然死を起こす.
●大動脈弁置換術が行われると劇的に予後が改善する.最近は経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)が広まってきた.
▼定義
リウマチ性弁疾患,加齢変性,先天性弁異常などのために大動脈弁の開放が障害され弁口面積が減少する疾患.進行性であり加齢変性によるものでは個人差はあるもののおおむね年間0.1cm2ずつ弁口面積が減少していくとされている.昨今の人口の高齢化とあいまって弁膜症のなかでは最も多くみられる.
▼病態