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治療

【12】好酸球増加症候群,好酸球性白血病
hypereosinophilic syndrome(HES),eosinophilic leukemia
定 明子
(神戸大学大学院・血液内科学)

疾患を疑うポイント

●末梢血中の好酸球絶対数が1,500/μL以上となる.

●アレルギー性,薬剤性,血管炎症候群,寄生虫感染,自己免疫疾患などの好酸球増加症の起因となる基礎疾患がない.

学びのポイント

●好酸球増加症は,好酸球の組織への直接浸潤や組織障害性顆粒の放出により深刻な臓器障害を合併しやすい.

●好酸球増加を伴う造血器腫瘍は分子細胞遺伝学的な異常に基づき治療効果や予後が予測できる.

●チロシンキナーゼ受容体PDGFRAPDGFRBの遺伝子異常をもつ造血器腫瘍はチロシンキナーゼ阻害薬イマチニブが著効する.

▼定義

 好酸球増加症はその産生亢進の成因の違いにより,好酸球増殖性サイトカインに非依存性(自律性)の骨髄原発性か,依存性の反応性(二次性)好酸球増加症に大別される.どちらか原因不明の場合,持続性好酸球増加症による臓器障害を伴う症例を暫定的に好酸球増加症候群(HES)とよぶ(図8-70)〔第12章「好酸球増加症,好酸球増加症候群」の項()も参照〕.

▼病態と分類

骨髄原発性好酸球増加症

 慢性骨髄性白血病などの骨髄系腫瘍では腫瘍性クローンの一部として好酸球増殖がみられる.WHO分類で明確に定義される腫瘍を除き,好酸球増加症を伴う腫瘍は骨髄の好酸球比率(30%以上)と芽球によって急性好酸球性白血病(acute eosinophilic leukemia:AEL,芽球20%以上)か慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia:CEL,芽球20%未満)に分けられる.新WHO分類では分子学的・細胞遺伝学的異常が重視され,好酸球増加症を伴いやすいチロシンキナーゼ遺伝子PDGFRAPDGFRBFGFR1の異常およびPCM1-JAK2キメラ遺伝子に関連した骨髄性・リンパ性腫瘍と,特定の遺伝子異常に関連しない慢性好酸球性白血病,非特定型(CEL,NOS)に

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