疾患を疑うポイント
●小児~高齢者のいずれの年齢でも発症,女性に多い.
●重症の視神経炎,3椎体以上の長い横断性脊髄炎,延髄の最後野症候群(難治性吃逆,悪心・嘔吐).
学びのポイント
●重症の視神経炎と3椎体以上の長い横断性脊髄炎を主徴とする炎症性中枢疾患.また脳症候群(難治性吃逆,悪心・嘔吐を起こす延髄の最後野症候群など)も起こることがあり,この疾患の全体を視神経脊髄炎スペクトラム疾患(NMO spectrum disorders:NMOSD)とよぶ(本項では,視神経脊髄炎で統一する).視神経脊髄炎はDevic(デビック)病ともよばれている.
●成人例ではAQP4抗体が半数以上の症例で陽性で,病理学的にはアストロサイト傷害が主徴である.抗AQP4抗体陰性視神経脊髄炎の一部はMOG抗体が陽性であり,小児に多い.
▼定義
視神経脊髄炎は,当初は視神経炎と脊髄炎がほぼ同時に起こることから注目された.その後,アクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体やMOG抗体が発見され自己免疫性の中枢神経疾患と認識されている.
▼病態
視神経脊髄炎に特異な抗AQP4抗体は主なサブクラスはIgG1である.血中の抗AQP4抗体は血液脳関門の破綻により脳脊髄の小血管を覆うアストロサイトの足突起に発現したAQP4に結合し,補体を活性化して補体依存性細胞傷害によりアストロサイトを破壊する.またリンパ球,好中球,好酸球,マクロファージなどの免疫細胞が急性期の病変に浸潤しており,病態にかかわっている.
ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白(myelin oligodendrocyte glycoprotein:抗MOG)抗体陽性視神経脊髄炎では,抗MOG抗体も主にIgG1サブクラスに属し,補体を活性化することを示唆する報告もある.病態の詳細は不明であるが炎症性脱髄病変を起こす.
▼疫学
抗AQP4抗体陽性視神経脊
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