診療支援
治療

1 菌血症
bacteremia
古川 恵一
(国保旭中央病院・感染症センター・センター長)

▼定義

‍ 菌血症(bacteremia)の定義は,細菌または真菌が血流中に生きて存在する状態である.菌血症と敗血症(sepsis)は同一でない.敗血症は感染症により制御不能な生体反応が起こり,生命にかかわる臓器障害が起こっている状態であり,菌血症を伴う場合が多いが,菌血症がなくとも起こる.

▼分類

 菌血症は,①一過性菌血症,②間欠的菌血症,③持続的菌血症の3つのタイプに分類される.

一過性菌血症

 数分から2~3時間までの間,一過性の菌血症が起こり,生体防御機構により排除される.例えば歯科的治療,消化管の生検,経皮的にカテーテルを血管内,膀胱内,総胆管内などに挿入する処置など,細菌の存在する皮膚や粘膜部位に傷がつくような処置の後や外科的ドレナージ,壊死組織除去の処置後などに起こる.一部の患者は感染性心内膜炎,骨髄炎などの臓器感染を合併しうる.

間欠的菌血症

 同じ菌による菌血症の発生と生体防御機

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