診療支援
治療

25 黄熱
yellow fever
加藤 康幸
(国際医療福祉大学教授・感染症学)

学びのポイント

●ネッタイシマカによって媒介される発熱性疾患.肝不全による黄疸が病名の由来.

●有効性の高い生ワクチンが開発されており,アフリカやラテンアメリカの疾患常在地に渡航する場合,国際保健規則に基づき予防接種証明書の携行が義務づけられることがある.

▼定義

‍ 黄熱ウイルス(フラビウイルス科フラビウイルス属)を病原体とする発熱性疾患.

▼病態

 病原体の自然宿主は熱帯地方に生息するサルと考えられ,ヤブカ属の蚊によって媒介される(森林型流行).一方,ヒトとネッタイシマカによって感染環が成立して,大きな流行が起きることがある(都市型流行).潜伏期は通常2~6日である.蚊の刺咬によって体内に侵入した病原体はウイルス血症を起こす.無症候性感染が多いとされるが,その割合は不明である.

 重症例は二峰性の発熱,あるいは高熱が持続する経過を示す.黄疸が顕著となり,嘔吐,出血傾向,乏尿を伴うことが多い.多臓器不

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