診断のチェックポイント
❶感染リスク,発熱や咽頭痛などの感染徴候,腫大リンパ節の分布,性状,自発痛・圧痛を確認する。
❷疼痛を伴い,急速に腫大する場合は細菌感染をまず疑い,抗菌薬治療を考慮する。好中球増多,CRP・プロカルシトニン(PCT)高値は本症を強く示唆する。
❸全身性にリンパ節腫大を認める場合は,ウイルス感染症や粟粒結核などの播種性感染症,悪性リンパ腫を鑑別する。
❹伝染性単核症にペニシリン系抗菌薬を投与すると薬疹が出やすいことに留意する。
【1】病歴
❶既往歴・基礎疾患:免疫機能に影響する各種疾患の有無。
❷生活歴:ネコ・イヌなどのペット飼育歴,動物接触歴,旅行・渡航歴,性活動歴。
❸全身症状:発熱,全身倦怠感,体重減少,盗汗,上気道炎症状。
❹局所症状:腫大リンパ節の部位に一致した自発痛,熱感,リンパ節支配領域の臓器・組織症状(疼痛・腫脹など)。
【2】身体所見
❶バイタルサイン:体温。加えて全身徴候を伴う場合はqSOFAスコアなどを用いて敗血症の合併を鑑別する。
❷腫大リンパ節の分布:局所(1個,複数個),両側性,全身性の確認。
■耳介後部,後頭部:風疹,頭皮や顔面の炎症。
■下顎・頸部:齲歯・口腔内感染症,各種ウイルス感染症,菊池病,結核性。
■腋窩部:同側上肢,胸背部,乳房などの創部・皮膚感染。
■鼠径部:同側下肢,下腹壁の創部・皮膚感染,陰部病変。
■全身性リンパ節腫大:各種ウイルス感染症,粟粒結核などの播種性感染症,第2期梅毒,トキソプラズマ症。
❸腫大リンパ節の性状:大きさ,硬さ(感染症によるものの多くは圧迫で容易に変形),圧痛(急性感染症の多くで認める),可動性(悪性腫瘍性は低い)。
❹リンパ節腫大以外の所見
■リンパ節支配領域の病変:顎下リンパ節では齲歯,頸部リンパ節では咽喉頭・扁桃病変,腋窩・鼠径リンパ節では同側上下肢や周辺部の創傷・皮膚病変・リンパ管炎(線状発赤),鼠径リンパ節では