診療支援
診断

発疹(1)感染症を中心に
Skin Rashes due to Infectious Diseases
立花 隆夫
(大阪赤十字病院・皮膚科部長)

緊急処置

【1】感染症には,ウイルス感染,細菌感染,真菌感染,抗酸菌感染,性感染などがあるが,緊急の外科処置を有するのは壊死性筋膜炎,ガス壊疽などの重症皮膚軟部組織感染症である。

【2】壊死性筋膜炎ではLRINEC(laboratory risk indicator for necrotizing fasciitis) scoreなども提唱されているが,それだけに頼ることなく,初診時に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)症状を伴っていれば,あるいは,伴っていなくてもその後の進展が時間単位と急速であれば,本症と診断し対処する。

【3】ガス壊疽は病変の主座が筋層内であり,皮膚軟部組織感染症に含まれるが厳密には皮膚感染症ではない。

診断のチェックポイント

【1】病歴:いつからどのように拡大したか,何か思い当たる節はないか,痒みや痛みなどはないか,あるいは,基礎疾患があり薬を内服していないか,などを聴取する。

【2】身体所見:発疹は限局性か全身性か,それは紅斑からなるのか,形状は例えば点状,斑状,地図状なのか,癒合するのか,水疱や膿疱が混じるのか,出血を伴うのか,また,発熱などの全身症状を伴うのか,リンパ節腫脹や関節症状を伴うのか,あるいは皮膚のみならず粘膜にも及んでいるのかなどを診察する。

【3】検査:これら自他覚症状を確認した後に,炎症所見(WBC,CRPの上昇など)や内臓病変の有無を確認すべく血液検査を行うが,例えば,ウイルス感染を疑ったときは可能性のあるウイルス抗体価を,真菌感染や抗酸菌感染を疑ったときは同時に組織培養を,性感染を疑ったときは患者の同意を得たうえで梅毒検査(あるいはHIV検査)などを追加する。

原因疾患と頻度

 発疹がみられる感染症は多数存在し,皮膚科新患の約20%を占める。感染症のなかでは細菌感染症が

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