診療支援
診断

腹痛
Abdominal Pain
飯島 英樹
(大阪大学大学院准教授・消化器内科学)

診断のチェックポイント

 腹痛は,一般臨床医が日常診療において遭遇する最も頻度の高い症状の1つである。腹痛を呈する状態には,良性疾患が原因で自然軽快する軽症のものから,緊急を要し重篤な経過をたどるものまであり,緊急治療が必要な重篤な病態を見逃さず診断することが必要である。また,婦人科領域,泌尿器科領域など消化器系以外の領域も念頭におき診断する必要がある。急性腹症の詳細については別項()を参照。腹痛の鑑別診断において,腹痛の発生機序と腹痛の部位の両者を考えながら情報を集め,診断を進める。

定義:腹痛は腹部に感じる痛みとして自覚される症状であり,疼痛の機序別に内臓痛,体性痛,関連痛の3つに分類される(表1)。腹痛は,腹腔内のみならず腹腔外臓器が原因で起こることもあり,注意が必要である。

【1】病歴:消化管,胆膵疾患などの消化器疾患だけでなく,血管病変,婦人科疾患,尿路系疾患など腹部臓器に由来す

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