診断のポイント
【1】急速に発症・進行する四肢の筋力低下を呈し,腱反射は消失~減弱する。進行は4週間以内に停止し,その後回復期に入る。
【2】発症1~3週間前に上気道炎や下痢などの先行感染症症状がしばしばみられる。
【3】末梢神経伝導検査で脱髄性変化または軸索障害の所見がみられる。
【4】約3分の2で急性期血清中にガングリオシドを主とする糖脂質に対するIgG抗体が陽性となる。
【5】脳脊髄液検査で蛋白細胞解離がみられる。
Guillain-Barré症候群(GBS)には種々の亜型があるが,Fisher症候群は外眼筋麻痺,運動失調,腱反射消失を3徴とするものである。約90%で血清のIgG抗GQ1b抗体が陽性となり急性期診断に有用である。
緊急対応の判断基準
【1】発症初期に今後どの程度重症化するかの予測は困難である。GBSの治療は初期の対応が最も重要であり,特に重症例では気道・呼吸管理,循環管理は生命予後にかかわる事項である。
【2】本症を疑った場合には電気生理学的評価と人工呼吸器管理の可能な神経内科専門医のいる施設での診断・加療が望ましい。
症候の診かた
【1】GBS典型例:運動優位に障害される。
❶運動麻痺は通常下肢近位筋から始まり上肢へと進展する。麻痺は左右対称性の弛緩性麻痺を呈し,通常腱反射は消失~減弱するが,軸索型では亢進をみる場合がある。約半数で顔面神経麻痺を認め,球麻痺・外眼筋麻痺も数%でみる。
❷感覚障害:運動麻痺に比して軽く,感覚低下を伴わずジンジンとした自覚的しびれ感にとどまることも多い。
❸Lasègue徴候もしばしばみられる。
❹循環系の自律神経症状(不整脈・血圧調節異常)をみることもあるが,発症当初から膀胱直腸障害を呈することは通常ない。
【2】Fisher症候群
❶外眼筋麻痺:外転神経麻痺で初発し両側性の全外眼筋麻痺に進展することが多い。外眼筋麻痺が片眼にとどまる場合は診断を疑う
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