診療支援
診断

肺胞蛋白症
††
Pulmonary Alveolar Proteinosis (PAP)
井上 義一
(国立病院機構近畿中央呼吸器センター・臨床研究センター長)

診断のポイント

【1】肺胞蛋白症に罹患している成人の95%は自己免疫性肺胞蛋白症(PAP)。

【2】自己免疫性PAPの30%は無症状。

【3】高分解能CT(HRCT)にてPAPを支持する所見,および気管支肺胞洗浄液あるいは病理組織所見でPAPの診断を行う([検査所見とその読みかた]参照)。

【4】自己免疫性PAPでは抗顆粒球マクロファージコロニー刺激(GM-CSF)自己抗体が陽性(特定施設で研究用として測定可。保険適用外)。

【5】続発性PAPの多くは血液疾患に続発し,日本人では特に骨髄異形成症候群に続発することが多い。

症候の診かた

【1】自己免疫性PAPでは30%は無症状。

【2】症状は労作時呼吸困難40%,呼吸困難と咳嗽の合併10%,咳嗽,痰を認める。

【3】ばち指は通常みられない。

検査所見とその読みかた

【1】血清中KL-6,SP-D,SP-A,LDH,CEAが上昇。

【2】HRCT(図1)

❶Crazy-paving pattern,地図状分布,subpleural sparing,コンソリデーション(consolidation)を認める。

❷牽引性気管支拡張像,囊胞,蜂巣肺を認めることがある。

【3】気管支肺胞洗浄(BAL)

❶液外観は白濁,放置すると沈殿。

❷光学顕微鏡で,Papanicolaou染色でライトグリーンに染まる顆粒状の無構造物質の沈着と,May-Giemsa染色などで泡沫状マクロファージがみられる。これらはPAS染色陽性である。

【4】経気管支肺生検(図2)あるいは外科的肺生検

❶末梢気腔内に0.2μm大の弱好酸性細顆粒状物質が充満している。

❷細顆粒状物質に数10μm大の好酸性顆粒状物質が混在する。

❸数μm大のlipid cleftsが混在する。

❹細顆粒状物質はPAS染色,SP-A免疫染色で陽性。

確定診断の決め手

【1】PAPの診断:原則,以下の2項目を満たすこと。

❶胸部CT(原

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