診断のポイント
【1】高血圧。
【2】低カリウム血症(正常カリウム血症も多い)。
【3】血中アルドステロン濃度/血漿レニン活性比(ARR)が高値。
【4】機能確認検査が少なくとも1種類陽性。
【5】原則として副腎静脈サンプリングで局在診断。
症候の診かた
【1】高血圧:軽症(Ⅰ度)から重症(Ⅲ度)まで程度は多様である。特に,Ⅱ度以上,治療抵抗性,若年者の高血圧で積極的に疑う。
【2】四肢のしびれ,筋力低下,多尿,多飲,不整脈など:低カリウム血症があればこれらを認める。正常カリウム血症では無症状であるため,本態性高血圧との鑑別が困難である。
検査所見とその読みかた
【1】一般検査:低カリウム血症が主要な一般検査所見であるが,正常カリウム血症が約4分の3を占めるとされている。低カリウム血症がある場合,代謝性アルカローシス,心電図異常(U波,ST変化)を認める。
【2】耐糖能異常:低カリウム血症やアルドステロンが耐糖能を低下させる。
【3】スクリーニング検査
❶血漿アルドステロン濃度(PAC)(pg/mL)と血漿レニン活性(PRA)(ng/mL/時)の比率(ARR)が200以上をスクリーニング陽性とする。血漿活性型レニン濃度(ARC)を用いる場合は,ARR>40~50を陽性とする。
❷しかし,ARRは分母であるPRA低値の影響を大きく受け,PACが正常~低値であっても陽性となるため(偽陽性),特にPACが120pg/mL以上の場合に診断を進めることが推奨されている。
❸一方,PAC120pg/mL以下であっても必ずしもPAは否定できない点にも留意する。
❹スクリーニング実施に際しては,降圧薬は検査への影響が少ないカルシウム拮抗薬,α遮断薬の単独あるいは併用への変更が推奨されるが,血圧コントロールが不十分な場合は,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)やACE阻害薬の併用も可能である。
確定診断の決め手
【1】機能
関連リンク
- 今日の診断指針 第8版/本態性高血圧
- 今日の診断指針 第8版/Bartter症候群/Gitelman症候群
- 今日の診断指針 第8版/Cushing症候群
- 今日の診断指針 第8版/腎血管性高血圧症
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/19 二次性高血圧症
- 今日の治療指針2023年版/二次性高血圧症
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/13 クッシング症候群
- 臨床検査データブック 2023-2024/インタクト副甲状腺ホルモン〔intact-PTH〕 [保] 165点(包)
- 今日の治療指針2023年版/原発性アルドステロン症
- 臨床検査データブック 2023-2024/アルドステロン《血漿アルドステロン濃度〔PAC〕》 [保] 125点(包)
- 新臨床内科学 第10版/1 インスリノーマ
- 新臨床内科学 第10版/2 原発性アルドステロン症
- 今日の診断指針 第8版/二次性高血圧
- 新臨床内科学 第10版/2 クッシング病