診断のポイント
【1】BMI≧25kg/m2。
【2】肥満に起因ないし関連し,減量を要する健康障害を合併する。
【3】ウエスト周囲長が男性で85cm以上,女性で90cm以上。
【4】腹部CTで確定された内臓脂肪型肥満。
症候の診かた
肥満に伴う健康障害は無自覚・無症状の場合も少なくないので,肥満者を診察する場合には適宜血液検査・画像検査を行う必要がある。
検査所見とその読みかた
【1】臍位でのウエスト周囲長が男性で85cm以上,女性で90cm以上であり,腹部CTにて臍レベルでの内臓脂肪面積が100cm2を超える場合,現在は健康障害を合併していなくても将来健康障害を発症するリスクが高く,肥満症として扱う。
【2】生体電気インピーダンス(bioelectrical impedance analysis:BIA)法を応用した腹部BIA法およびデュアルインピーダンス法による内臓脂肪測定は,いずれも放射線非被曝の有用な検査法である。
確定診断の決め手
【1】肥満(BMI≧25kg/m2)と診断されたもののうち,以下の❶❷のいずれかを満たすこと。
❶肥満に起因ないし関連し,減量を要する健康障害。
❷ウエスト周囲長によるスクリーニングで内臓脂肪蓄積を疑われ,腹部CTで確定診断された内臓脂肪型肥満。
【2】BMI≧35kg/m2の肥満を高度肥満とし,そのうち肥満に起因あるいは関連する健康障害を併せもつ場合を高度肥満症とする。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
肥満は原発性肥満と,特定の疾患に起因する二次性肥満に分類される。高度肥満においては,二次性肥満の鑑別が重要である。二次性肥満には,内分泌性肥満,遺伝性肥満,視床下部性肥満,薬物による肥満がある。
【1】内分泌性肥満:二次性肥満のなかでは頻度が多く,Cushing症候群(→),多囊胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome:PCOS)(→),