診療支援
診断

EBウイルス感染症
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Epstein-Barr Virus Infection
徳江 豊
(群馬大学医学部附属病院感染制御部・診療教授)

診断のポイント

【1】伝染性単核球症(表1)

❶EBウイルス(EBV)の初感染による発症で潜伏期は4~6週。

❷発熱,咽頭扁桃炎,頸部リンパ節腫脹。

❸末梢血リンパ球増多,異型リンパ球出現。

❹EBV抗体価が初感染パターンを示す。

【2】慢性活動性EBウイルス感染症(表2)

❶東アジアの小児・若年成人。

❷慢性,持続性伝染性単核球症様症状。

❸末梢血,組織内のEBVゲノム量増加。

【3】悪性腫瘍(EBVの遺伝子機能が発癌に関与)

❶Burkittリンパ腫。

❷Hodgkinリンパ腫。

❸リンパ増殖性疾患。

❹上咽頭癌。

症候の診かた

【1】伝染性単核球症

❶咽頭痛は95%以上に認められ,ほとんどが7日以内である。

❷頸部リンパ節腫脹は90%程度に認められ,15日程度持続する。

❸発熱は50%程度に認められる。

❹肝脾腫も10%程度みられる。

【2】慢性活動性EBウイルス感染症

❶3か月以上持続する伝染性単核球症様症状。

❷リンパ増殖性疾患や血球貪食性リンパ組織球症を合併することがある。

❸蚊刺過敏症や種痘様水疱症を呈することがある。

【3】悪性腫瘍:それぞれの疾患に特徴的な臨床所見を呈する。

検査所見とその読みかた

【1】異型リンパ球

❶末梢血リンパ球数はしばしば20,000/μLを超え,大型で好塩基性が強い細胞質をもつ異型リンパ球の出現がみられ,70~80%の症例で全リンパ球の10%以上の比率となる。

❷ただし他のウイルス性疾患でも異型リンパ球は出現し,EBV感染に特異的な所見ではないが,末梢血リンパ球が50%以上かつ異型リンパ球が10%以上の場合の感度は61%,特異度は95%であるとの報告がある。

【2】血清EBV抗体:EBV感染の血清診断では,VCA(virus capsid antigen),EA(early antigen),EBNA(EBV nuclear antigen)に対する抗体を測定する。

❶EBVの初感染では

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