診療支援
診断

タバコ中毒
Cigarette Ingestion
田㔟 長一郎
(星総合病院・救急医療センター長)

診断のポイント

【1】6~11か月の乳児。

【2】家族や周囲に喫煙者がいる,タバコや灰皿が乳幼児の手の届くところにある。

【3】口唇や口腔内,吐物にタバコの葉を認めたり,口腔からタバコ臭がする。

【4】乳幼児の突然原因不明な顔面蒼白,発汗,嘔吐。

【5】保護者の目撃情報。

緊急対応の判断基準

【1】タバコの毒性

❶ニコチンの致死量:タバコの主要毒成分であるニコチンは,ヒトの成人致死量は50~60mg,乳幼児の致死量は10~20mgとされ,青酸カリウムの成人致死量150~300mgと比較しても猛毒であることがわかる。しかし,ヒトの致死量についての文献的な根拠はない。

❷タバコ1本に含まれるニコチン量:7~24mgで,経口摂取した場合の致死量は乳幼児で1本,成人で2本に相当する。タバコのパッケージに記載されているニコチン量は,煙の中に含まれている量であり,実際の含有量よりも少ない。

【2】緊急対応の判断基準および

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