診療支援
診断

有機溶剤中毒
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Organic Solvent Poisoning
橋口 尚幸
(順天堂大学大学院教授・救急・災害医学)

診断のポイント

 有機溶剤は,他の物質を溶かす性質をもつ有機化合物の総称で,塗装,洗浄,印刷などに使用されるため,建設業,製造業従事者が中毒対象患者となりうる。診断では問診が最も重要である。

【1】有機溶剤を使用する職場か。

【2】使用している有機溶剤名。

【3】症状が作業に関連しているか,一過性か,持続性か。

【4】現場の換気状況,呼吸用保護具使用の有無。

【5】薬物乱用関連の場合は症状と発見状況。

緊急対応の判断基準

【1】急性中毒で意識障害(意識消失)を呈する場合:蘇生対応(気道確保を含む酸素投与,ルート確保,モニタ装着,必要なら昇圧薬使用)をしつつ,ICUで集学的治療を行うか,高次対応病院へ搬送。基本的には対症療法を施行する。

【2】自殺企図などでの有機溶剤の経口摂取:揮発性があるため,胃洗浄は禁忌である。

症候の診かた

 体内への取り込みは,吸入ならびに経皮的吸収が主な経路である。

【1】急性中毒:換気

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