診療支援
治療

肺炎クラミジア,オウム病クラミジア
chlamydial respiratory infection
尾内一信
(川崎医科大学小児科学・教授)

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[感]クラミジア肺炎:5類,オウム病:4類

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●病態

A.肺炎クラミジア

・1986年に呼吸器感染症の原因菌として初めて報告されて以来,下気道感染症の原因菌として重要な位置を占めている.地域的な小流行を繰り返すことが多く,家族内,学校などさまざまな集団で肺炎や気管支炎の流行が報告されている.流行に季節性はない.

・マイコプラズマとともに非定型肺炎の主な原因である.ヒトからヒトに飛沫感染する.潜伏期は1~4週間と考えられる.

・病型には咽頭炎,気管支炎,肺炎,胸膜炎,中耳炎と副鼻腔炎などあるが,最も重要なのは下気道感染症である.

・血液検査では炎症所見は軽度であることが多い.肺炎例の胸部X線所見は小斑状陰影が特徴的で,気管支肺炎像を呈する.

・診断は,菌の検出あるいは有意の抗体価の上昇による.菌の検出にはPCR法が最も有用であるが,キット化されていないため施設間の精度差を認める.抗体価測定ではEIA法は保険収載されており,利用価値が高い.表1Chlamydia pneumoniae急性感染症の診断基準を示す.

B.オウム病クラミジア

・ヒトに感染し,肺炎などの気道感染症を引き起こす.わが国の年間報告数は50例程度である.主に感染鳥類の唾液や排泄物を吸引して感染する.感染源はオウム・インコ類が多いが,ハトなどその他の鳥が30%程度にみられる.潜伏期は1~2週間と考えられる.

・臨床症状は高熱で突然発症する例が多く,頭痛,全身倦怠感,筋肉痛,関節痛が初発症状のことが多い.その後,乾性咳嗽を伴う.病型は上気道炎から肺炎までさまざまであるが,初期治療が不適切であると髄膜炎や多臓器不全に陥り,しばしば致死的な経過をたどる.

・検査所見は白血球数は正

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