診療支援
治療

敗血症,敗血症性ショック
sepsis,septic shock
志馬伸朗
(広島大学大学院救急集中治療医学・教授)

治療のポイント

・敗血症は疾患名ではなく病態定義である.

・敗血症の認識は,ぱっと見の第一印象の悪さに加え,quickSOFAスコア,SOFAスコア,ショック評価により迅速に行う.

・小児用の敗血症関連基準値はまだ確立されていない.

・初期治療の根幹は輸液,循環作動薬,抗微生物薬と感染源コントロールである.

・炎症反応や免疫系制御に視点をおいた補助的治療や,臓器不全管理の有用性は明らかになっていない.

・重症ケアユニット(特定集中治療室や救命救急センターなど)への転室・転院搬送を早期に考慮する.

●病態

・敗血症(sepsis)とは,「感染症と,これに伴い生じる制御されない生体防御反応の結果,組織灌流不全により致死的な急性臓器不全を併発する一連の病態」を指す.

・敗血症性ショック(septic shock)とは,敗血症のなかで「適切な輸液負荷を行っても平均動脈圧を維持するために血管収縮薬の投与を必要とし,かつ,≧2mmol/Lの高乳酸血症を呈する組織灌流不全病態の持続」である.

・早期の認識に基づく迅速な蘇生的介入が重要であり,アルゴリズムに従い敗血症を評価する.まずは第一印象の悪さをPAT(pediatric assessment triangle)すなわち表情,皮膚色,呼吸様式により何らかの急性期異常を認識する.

・次にバイタルサインを測定しquickSOFAスコアを確認する.①意識変容,②頻呼吸,③低血圧の3点で評価し,2点以上であれば敗血症を疑い,SOFAスコアを確認して2点以上の急性上昇があれば敗血症と認識し,初期治療を開始する.

・評価に用いられるバイタルサインの基準値は,小児においては年齢別に異なる.この年齢別差違を勘案した小児用quickSOFA,小児用SOFAなどは,まだ確立されたものがない.

●治療方針

A.処方例:1時間バンドル

 敗血症の認識1時間以内に完遂する.迅速な輸液と薬剤

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