診療支援
治療

ウイルス性肺炎
viral pneumonia
柴田睦郎
(北海道医療大学病院小児科・教授)

治療のポイント

・細菌性肺炎の除外が必要である.

・治療は対症的である.

・免疫不全の有無に関係なく重症例は呼吸不全を呈する可能性がある.

・抗ウイルス薬,ワクチンの効果が期待できる症例がある.

・パリビズマブの投与開始と終了には,地域のRSウイルス流行時期と保険給付状況を考慮する必要がある.

●病態

・肺炎は発熱,鼻汁,咽頭痛,咳嗽,頻呼吸などの急性呼吸器症状を伴い,胸部X線,CT,超音波画像などにおいて肺に急性の浸潤影を認めるものをいう.

・胸部聴診所見でしばしば副雑音や呼吸音減弱を認める.

A.原因ウイルス

・ライノウイルス,RSウイルス,ヒトメタニューモウイルス,パラインフルエンザウイルス1・2・3型,ヒトボカウイルス,ヒトパレコウイルスなどが知られている.

B.合併する細菌感染

・インフルエンザ菌,肺炎球菌が主である.米国では重症インフルエンザ感染時の(メチシリン耐性)ブドウ球菌重感染が注目されている.

C.肺病変が重症化するウイルス

・インフルエンザウイルス(pandemic,avian),アデノウイルス(3・4・7型),MERSコロナウイルスおよびSARSコロナウイルス2,ライノウイルス/エンテロウイルス(網羅的PCR)を念頭におく必要がある.手足口病の病原ウイルスのエンテロウイルスA71は,神経原性肺水腫や肺出血を起こしうる.

・EBウイルスは血球貪食性リンパ組織球症(HLH)の際に間質性肺炎を起こしうる.また敗血症の際に明らかな呼吸器症状のない肺浸潤影を示す呼吸器系ウイルス重感染も報告されている.

・新興・再興感染症については国内情報のみではなくWHOや米国CDCの情報が参考になる.

・(特に細胞性)免疫不全下ではサイトメガロウイルス,水痘・帯状疱疹ウイルス,麻疹ウイルスの肺病変の重症化が知られている.

D.検査室診断および鑑別診断

・下気道検体のウイルス培養・同定には時間がかかる.現在(呼吸

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